近年、生成AIを活用した業務効率化が急速に進んでいます。しかし、厳密性と正確性が求められる企業法務や法律事務所において、「契約書チェックやリーガルチェックを生成AIに丸投げする」のは非常にリスクが高いのが現状です。

AIには存在しない判例や誤った法律解釈を「もっともらしく」生成してしまうハルシネーション(幻覚)のリスクがあり、一次情報や引用元の確認を怠ると重大な法的リスクに直結しかねません。

法務における生成AIの正しい活用法は、最終的な判断をAIに任せることではなく、「信頼できる根拠(引用元)に基づくリサーチの補助」や「過去の社内ナレッジの抽出」「文章作成・要約の下書き支援」のパートナーとして使いこなすことです。

本記事では、法務部門や法律事務所が安全かつ効果的に生成AIを活用する方法と、そのまま実務で使える具体的プロンプト例、それを支えるセキュア生成AI基盤「カチミルス」のアプローチを解説します。

1. なぜ「リーガルチェックの丸投げ」は危険なのか?

① ハルシネーション(誤情報生成)のリスク

一般的な生成AIは、入力された情報に対して「確率的に最も確からしいテキスト」を作成する仕組みです。そのため、存在しない条文や架空の判例を捏造してしまうハルシネーションという弱点があります。

② 一次情報・引用元確認(ファクトチェック)の必要性

法務実務においては、「どの判例に基づいているか」「どの法令の何条に該当するか」という確実な根拠(一次情報)が不可欠です。生成された回答を鵜呑みにせず、必ず根拠となるドキュメントや出典を確認できる仕組みが必要です。

③ 機密情報の漏洩リスク

無料版の生成AIに顧客情報や未公開の契約書、社外秘の法務相談内容を入力すると、AIの再学習に利用され、外部へ漏洩する恐れがあります。

2. カチミルスで実現する安全な「法務AI活用」4つのアプローチとプロンプト例

セキュア生成AI基盤「カチミルス」は、データの再学習を行わない安全な環境を標準装備しており、法務実務を強力にバックアップします。

①【事例・判例・最新法改正リサーチ】AIアシスタントで引用元・一次情報を提示

カチミルスの「AIアシスタント機能」は、指示に基づいて自律的にWeb検索や情報収集を行い、結果を整理・レポート化します。参照したWebサイトや情報源のURLが明示されるため、提示された一次情報に直接アクセスしてファクトチェック(裏付け確認)を効率的に行うことができます。

プロンプト例 1 【最新法改正・他社開示事例調査】(改正育児・介護休業法対応)
あなたは企業法務および労務に精通したリーガルリサーチャーです。 【調査テーマ】 2025年に段階施行されている「改正育児・介護休業法」に伴う企業側の対応実務、および他社(上場企業等)の適時開示・サステナビリティ報告書・CG報告書での開示事例を調査してください。 # 条件 ・2025年末〜2026年現在において、企業側で対応が必須となる主な法改正の要点(柔軟な働き方の措置義務、介護離職防止のための個別の周知・意向確認、公表義務等)を3〜5点にまとめてください。 ・他社(特にIT・製造・サービス業等)における具体的な社内規定改定の動向や、開示書類における記載事例を3件挙げてください。 ・各事例・解説について、必ず根拠となる厚生労働省等の公的機関の一次情報や、参照したWebサイトのURLを明記してください。 # 出力形式 1. 改正育児・介護休業法の要点サマリー(2025年施行分) 2. 他社の対応・開示事例比較表(企業名/対応・開示概要/記載の特徴) 3. 法務対応における留意点 4. 参照元(一次情報・URL一覧)
プロンプト例 2 【裁判例・判例の動向調査】(競業避止義務の有効性)
あなたは判例リサーチを得意とする法務アシスタントです。 【調査テーマ】 退職後の「競業避止義務条項」の有効性が争われた近年の裁判例(判例)について調査しWordファイルでまとめてください。 # 条件 ・裁判所が「競業避止義務の有効性」を判断する際に重視した要素(代償措置の有無、期間、地域、職種の限定性など)を整理してください。 ・判決が分かれた近年の裁判例(有効と認められた例/無効と判定された例)を各1〜2件挙げ、事案の概要と判断理由を記載してください。 ・参照した一次情報(裁判所ウェブサイトの判例検索結果、法曹系情報サイト等のURL)を必ず明記してください。 # 出力形式 1. 競業避止義務の有効性判断基準(要点) 2. 判例比較表(事件名/判断結果(有効・無効)/決定打となった要素) 3. 各判例の詳細と判断理由 4. 参照元URL一覧 5. wordファイルで保存

以下にプロンプト例1の【最新法改正・他社開示事例調査】(改正育児・介護休業法対応)を実際にカチミルスのAIアシスタント機能で調査した結果を一部ご紹介します。
AIアシスタント機能を有効にし、プロンプトを入力。調査を依頼しますと、AIアシスタントが実行計画を立て、Web検索・情報収集・要約・整理を自動で実行してくれます。

【企業法務×生成AI】カチミルスプロンプト例1

調査が終わりましたら、調査結果が画面に表示されます。以下に画面の抜粋を記載します。
※調査結果に他社様の事例なども記載がされておりましたので、そちらは割愛させていただきます。

【企業法務×生成AI】カチミルスプロンプト例2

最後に留意点と、参照元URLなどもまとめてくれています。厚労省のURLや他社の事例などのURLがまとめられております。
※引用元URLに他社様の事例なども記載がされておりましたので、そちらは割愛させていただきます。 本プロンプト例ではチャット画面に調査結果を表示しておりますが、WordやPDFファイルとして保存をプロンプトで指示することも可能です。

【企業法務×生成AI】カチミルスプロンプト例3

②【過去データの調査】RAG(社内データ活用)で自社知見を即座に抽出

カチミルスの「RAG検索機能(10GBまで)」を使えば、過去の契約書、法務意見書、社内規約、トラブル対応ログなどをAI用データベースに安全に登録できます。

活用例:「過去に類似の競業避止義務条項でどのような交渉を行ったか」「〇〇に関する社内ガイドラインの規定はどうなっているか」の検索。

ポイント:一般的なインターネット情報ではなく自社の社内データに基づいて回答し、「どの社内文書を参照したか(根拠文書名)」を明示するため、過去の知見を素早く再利用できます。

③【企業法務の文章作成・要約支援】高度なLLM(Claude Opus等)による実務アシスト

カチミルスでは、複雑な推論や長文解析に長けたAnthropicの上位モデル「Claude Opus 5」や「Claude Sonnet 5」を用途に合わせて自在に選択できます。

プロンプト例 3 【株主総会指導・ガバナンス】(想定問答Q&A作成)
あなたは企業法務および株主総会指導に精通した弁護士・法務アドバイザーです。 【依頼内容】 定時株主総会に向けて、株主から「[質問テーマ:例:コーポレート・ガバナンス・コード改定に伴う社外取締役の独立性基準およびスキル・マトリックスの開示方針]」について質問された場合の想定問答(Q&A)の下書きを作成してください。 # 前提・入力情報 自社のガバナンス方針・CG報告書の該当箇所: <ここに自社のCG報告書の抜粋テキストを入力、またはファイル添付、RAGから参照> # 条件 ・議長(社長)または担当役員が回答する際の「基本答弁案(口頭用)」を、1〜2分程度で話せる文体で作成してください。 ・株主からの追質問(手厳しい追及)が想定されるポイントを2〜3点挙げ、その推奨対応方針を提示してください。 ・関連する会社法条項、コーポレート・ガバナンス・コードの該当原則、または東証の開示ガイドライン等の根拠を明記してください。 # 出力形式 1. 基本答弁案(口頭用) 2. 想定される追質問と対応方針(表形式) 3. 参照した法的根拠・関連コード原則一覧
プロンプト例 4 【法務デュー・ディリジェンス(法務DD)】(リスク一次抽出)
あなたはM&Aおよび法務デュー・ディリジェンス(法務DD)を専門とする法務コンサルタントです。 【依頼内容】 対象会社から開示された以下の契約書テキストを分析し、株式譲渡(経営権移転)にあたってリスクとなる条項を抽出・評価してください。 # 入力ドキュメント <対象契約書(例:業務提携契約書 / 買収対象の重要契約書)の全文テキストを挿入またはファイル添付> # 抽出・評価条件 以下の重要論点の有無を調査してください: ・チェンジ・オブ・コントロール(CoC / 経営権変更)条項の有無 ・契約解除事由(表明保証違反・期限の利益喪失等) ・競業避止義務・引き抜き防止条項 ・損害賠償責任の上限規定 M&A実行にあたり、「事前承諾」が必要か「事前通知」で足りるか等の実務的影響とリスクレベル(高・中・低)を判定してください。 判断の根拠となった「該当条文番号」と「原文の該当箇所」を正確に引用してください。 # 出力形式 1. 重要論点サマリー表(項目/条文番号/要約/M&Aへの影響リスクレベル) 2. 検出されたリスクの詳細解説と事前対策案 3. ファクトチェック用 原文引用一覧

④【簡易事務作業の効率化】定型業務の工数を削減

日常的な法務事務もプロンプトテンプレートなどを活用して大幅に効率化できます。

  • 法務相談メールの返信下書き:社内からの法務相談に対する丁寧な初期回答文の作成。
  • 議事録の要約・タスク抽出:法務打ち合わせメモからの決定事項・ToDo整理。
  • 契約チェックリストの作成:特定の契約種別における確認ポイントの洗い出し。

3. 法律事務所・法務部門が求めるセキュリティ・管理体制

カチミルスは、機密情報を扱う法律のプロが安心して導入できるセキュリティを備えています。

  • AIのデータ記憶阻止(学習防止):入力データやアップロードファイルがAIの学習に利用されることは一切ありません。
  • NGワードフィルタ&ガードレール:個人情報や機密性の高い単語の自動置換・マスク化により、意図しない情報送信を防ぎます。
  • プロンプトテンプレートの社内共有:法務部内で成果の出る「指示の型」を登録・共有し、部員全体の業務クオリティを平準化できます。

4. まとめ:AIを「優秀な法務リサーチャー・下書き作成者」として活用しよう

生成AIに最終判断やチェックを丸投げするのは危険ですが、「根拠となる引用元を人間が確認することを前提としたリサーチ」「過去データの検索」「文章の下書き作成」として活用すれば、法務業務の生産性は飛躍的に向上します。

カチミルスなら、徹底されたセキュリティ環境下で、最新のAIモデルとRAG・Webリサーチ機能を安全にご利用いただけます。

「法務部門での安全なAI活用方法を知りたい」「実際の画面でリサーチ機能を試してみたい」という企業様・法律事務所様は、ぜひお気軽に無料相談・資料請求をご利用ください。