会議中、上司や取引先から急に「何かいい案ない?」と振られて、頭が真っ白になった経験はありませんか。とりあえずChatGPTを開いて「新商品の企画を10個考えて」と入力してみたものの、返ってくるのは「若者向けにSNSを活用する」「サブスクリプション化する」といった、どこかで一度は聞いたような案ばかり……。「AIって思ったより普通のことしか言わないな」と、少しがっかりした方も多いのではないでしょうか。
実はこれ、AIの性能が低いわけでも、あなたの使い方が下手なわけでもありません。「普通の質問には、AIも普通にしか答えられない」というだけの話なのです。この記事では、AIから思わず「それ、面白い!」と言いたくなるようなアイデアを引き出すための、ちょっとした「切り口」の指定法をご紹介します。
AIに「面白いアイデア」を出してもらうための大原則
「普通の指示」からは「普通の回答」しか生まれない
AIは、インターネット上にある膨大な文章を学習して、「多くの人がよく使う、当たり障りのない表現」を得意としています。裏を返せば、曖昧でざっくりした質問をすると、AIは「一番当たり障りのない、平均的な答え」を返しようとするということです。
例えば、「新商品のアイデアを出して」という指示は、実は人間に対して「何か面白いこと言って」と振るのと同じくらい難易度が高い、答えにくい質問です。優秀な部下でも、こんな漠然とした指示では当たり障りのない答えしか出せませんよね。AIも同じです。
ここで大切な気づきがあります。AIが凡庸な答えしか出さないのは、AIが「気の利かない部下」だからではなく、あなたが「気の利いた部下」に育てるための"具体的な指示"を与えていないからなのです。ここから先は、具体的にどんな指示を与えれば、AIが思考の枠を飛び越えてくれるのかを見ていきましょう。
試してほしい!AIの思考の枠を広げる3つの『掛け合わせ』
AIに斬新なアイデアを出させる一番のコツは、普段は絶対に組み合わせないような「条件」をあえて掛け合わせることです。人間はどうしても「常識」や「これまでの経験」に縛られてしまいますが、AIには変なプライドも思い込みもありません。極端な条件を与えれば与えるほど、遠慮なく突飛な発想を出してくれます。ここでは、特に使いやすい3つの掛け合わせをご紹介します。
①「ターゲット」をあえて極端に変えてみる
企画が煮詰まったときは、まず想定しているお客様像を、あえて実際とはかけ離れた極端な人物に変えてみるのが有効です。
例えば、あなたの会社が「30代の働くお母さん向け」の商品を扱っているとします。ここで一度、「これを80代の一人暮らしのおじいちゃんが使うとしたら、どんな商品になるか?」とAIに問いかけてみてください。あるいは「海外から来たばかりで日本語がまだ苦手な留学生だったら?」でも構いません。
一見、的外れな質問に思えるかもしれません。しかし、この極端なターゲット設定によって、AIは「操作をもっと簡単にする」「文字ではなく音声で案内する」といった、元のターゲットにも実は役立つ、新しい視点のアイデアを出してくれることがよくあります。実際のターゲットには使わなくても、そこから着想を得て軌道修正する、というイメージです。
②「異業種の成功パターン」を無理やり適用する
2つ目は、まったく関係のない業界の成功事例を、自社の業界に無理やり当てはめてみるという方法です。
例えば、あなたが飲食店を経営しているなら、「携帯電話業界の"2年契約"という仕組みを、飲食店に当てはめたらどんなサービスができるか?」と聞いてみてください。あるいは「フィットネスジムの"回数券"の仕組みを、美容室に応用したら?」でも良いでしょう。
一見、無関係な業界の仕組みを強引に当てはめることで、AIは既存の枠を飛び越えて、業界の"当たり前"にとらわれない新しい発想を提示してくれます。人間だと「そんな業界のやり方、うちには関係ない」と最初から候補を消してしまいがちですが、AIは遠慮なく組み合わせてくれるのが強みです。
③「予算ゼロ」「期間1日」など制約を極端にする
3つ目は、予算や時間といった制約を、現実離れしたレベルまで極端に設定する方法です。
「予算100万円で販促イベントを考えて」というごく普通の指示ではなく、「予算ゼロ円、しかも準備期間はたった1日で、それでも話題になる販促イベントを考えて」と聞いてみてください。人は制約が厳しくなればなるほど、逆に「じゃあどうすればできるか」を工夫して考えるようになります。AIも同様に、制約が厳しいほど、既存の手段(広告費をかける、時間をかけて準備する)に頼らない、知恵を絞った案を出してくる傾向があります。
出てきた案をそのまま実行する必要はありません。ここで大事なのは、「制約を極端にすることで、これまで思いつかなかった発想の種を手に入れる」ということです。
そのまま使える!アイデア量産プロンプトテンプレート
ここまでご紹介した3つの掛け合わせを、そのまま使えるテンプレートとしてまとめました。空欄部分をご自身の状況に合わせて書き換えるだけで、すぐに試すことができます。
💡 すぐ使えるプロンプトテンプレート
あなたはアイデア出しの専門家です。以下の条件で、他社にはない斬新な企画・アイデアを10個、簡潔に箇条書きで出してください。
・テーマ:〔例:新商品/販促イベント/サービス改善〕
・通常のターゲット:〔例:30代の働くお母さん〕
・あえて変更するターゲット:〔例:80代の一人暮らしの方〕
・参考にしたい他業界:〔例:携帯電話業界のサブスクリプション〕
・極端な制約:〔例:予算0円、準備期間1日〕
それぞれのアイデアについて、「なぜそれが斬新なのか」を一言添えてください。
このように条件を明記して指示することで、AIは「普通の回答」ではなく、こちらが意図した「枠を飛び越えた回答」を出しやすくなります。もし出てきたアイデアがまだ物足りないと感じたら、「もっと極端にして」「他の掛け合わせでもう10個」と追加で指示するのも効果的です。
こうしたブレストで面白いアイデアが出てくると、すぐに社内で共有して、みんなで揉んでみたくなるものです。ただ、その際に少し気になるのが「このアイデア、外部に漏れたりしないだろうか」という点です。特に新商品や新サービスの企画は、会社にとって大切な情報資産です。セキュリティがしっかり守られた中小企業向けのサービスであれば、機密性の高い新商品のアイデアであっても、外部に漏洩する心配なく安心してブレストを重ねることができます。実際、私たちが提供している社内AIチャットサービス「カチミルス」も、入力データが一切学習に使われることのない設計になっており、経営者の方が「これなら社員に安心して使わせられる」と思える環境を用意しています。
無料版で「ここまでできるんだ」と便利さを実感した方だからこそ、次は「会社の資産として、もっと安心して使いこなしたい」と感じるタイミングなのかもしれません。
まとめ:AIは「突飛な組み合わせ」を考えるのが大の得意
AIから「それ、面白い!」と思えるアイデアを引き出すコツは、テクニックよりも「視点の掛け合わせ方」にあります。
- ターゲットを極端に変える
- 異業種の成功パターンを無理やり当てはめる
- 予算や期間などの制約を極端にする
この3つの掛け合わせを意識するだけで、AIは驚くほど自由な発想でアイデアを出してくれます。AIは人間のように「常識」や「これまでのやり方」にとらわれることがありません。むしろ、突飛な組み合わせを臆せず考えられることこそ、AIの一番の得意分野です。
次に「何かいい案ない?」と聞かれたときは、ぜひ今回ご紹介した切り口を使って、AIと一緒にブレストしてみてください。そして、出てきたアイデアを安心して社内で共有できる環境も、あわせて見直してみてはいかがでしょうか。